剣が天を突くかのような山容が特徴的な五剣山がシンボルの「庵治半島」。香川県高松市東部に位置し、源平合戦で知られる屋島と狭い湾を挟んで向き合うように北に突き出した半島である。四国八十八ヶ所霊場第85番札所八栗寺をはじめ、半島内には多くの寺社があるほか、古代の巨石信仰の記憶を留める遺跡も存在する。
庵治半島は日本三大花崗岩にも数えられる「庵治石」の産出地で、石質・加工技術ともに名高く、高松城や大阪城の築城にも使用された歴史をもつ。また、この地に留まり作品を作り続けた世界的に著名な石の彫刻家イサム・ノグチのアトリエ跡も「イサム・ノグチ庭園美術館」として公開されている。
良質な花崗岩盤が存在するエリアは、世界的にも聖なる場所と伝えられる傾向にあり、この庵治半島においても空海をはじめ多くの修行者が聖地として崇め、修行を積んできた歴史をもつ。
庵治半島つくり旅 〜石の聖地探訪編〜
高松市のシンボルである屋島と狭い湾を挟んで向き合うように北に突き出した庵治半島。その真中に位置しているのは弘法大師空海修行の伝承が残る五剣山です。五剣山を含めて庵治半島全体は「庵治石」として知られる硬い花崗岩からなり、麓の牟礼・庵治の街は庵治石を切り出して、墓石や石碑に加工する石の街として栄えてきました。
花崗岩質の場所には聖地が多い傾向がみられます。このツアーでは日本の聖地/レイライン研究の第一人者・内田一成氏のガイドのもと、巨大な花崗岩の岩盤に点在する聖地を自転車で巡っていきます。庵治の石文化と聖地の成り立ちを読み解くとともに、石の加工場では実際に庵治石に触れ、地域の産業も体験します。
事前レクチャー
聖地探訪ツアーは、聖地に秘められた意味を現地を訪ねながら解き明かしていくものですが、事前に情報を知っておいたほうがより深く楽しめます。
事前のレクチャーでは、ガイドの内田一成氏が庵治半島エリアをレイライン(聖地の構造)の視点で調査したレポートを元に、地域の歴史や文化、その聖地性を解説します。また、聖地探索のための基礎知識やレイライン調査の手法、使用するスマホアプリのレクチャーなど、ワークショップ形式の実践的なレクチャーも行います。
八栗寺周辺のレイライン探索
四国霊場第85番札所八栗寺の本堂は五剣山の岸壁を背にして、正面は高松市街の方角を向いています。その方向は冬至の入日の方向にあたり、本堂から見て参道の真ん中に日が落ちる構造になっています。また、本堂の背後は夏至の日出方向に当たり、五剣山山頂の祠からは夏至の朝日と冬至の夕日、両方を拝していたのではないでしょうか。
本堂向って左の石段の上には、讃岐三大天狗の一つで修験者を示唆する「中将坊」が祀られています。内田氏の解説を聞きながら、五剣山を修行場とする修験の痕跡を読み取っていきましょう。
皇子神社、御殿山の磐座
庵治の採石場と瀬戸内海を望む海岸沿いの道を自転車で走行し、映画「世界の中心で愛を叫ぶ」のロケ地となった庵治町に入ります。庵治港を過ぎると見えてくるのが皇子神社で、境内からは庵治港が一望。社殿の鳥居にちょうど五剣山が収まることから、五剣山を意識した社殿造営だったことがわかります。
神社の奥に進むと高松藩初代藩主・松平頼重の別荘が置かれた御殿山があり、巨大な石のベッドのような磐座からは瀬戸内の多島美が堪能できます。
また、御殿山のとなりの大仙山には高さ2.5mほどの立石や磐座、祠が存在し、夏至の入日方向のレイラインは、大島、男木島、直島を貫きます。この場所が古来からの聖地であることを伝えています。
竹居観音寺
庵治の集落を離れ、庵治半島の突端近くまで自転車で進むと、八栗寺の奥の院とされる竹居観音寺にたどり着きます。この寺の少し先の岬にある岩窟は古代から修験道場として開かれていました。
八栗寺の奥の院とされたのは、庵治半島自体がとても広い修験の道場であり、五剣山やその周辺の山岳での修行と合わせて、この岩窟でも参籠修行が行われていた名残りだと思われます。
庵治石加工体験
ツアーの仕上げは、庵治半島の象徴ともいえる庵治石に触れ、簡単な整形をしてみます。とても密度が高く硬い庵治石はその目をきちんと見極めなければ、思ったようには割れません。石工は、古来、神聖な石に触れ、そこから形を生み出していくことからマジカルな職業と考えられていました。そんな石工の感覚をぜひ味わってみましょう。
モデル行程 | 14:40 屋島テニスクラブ集合 15:00 事前レクチャー 15:30 庵治半島聖地探訪サイクリング 18:30 屋島テニスクラブ帰着・解散 |
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所要時間目安 | 約3時間半(自転車走行距離は約16km) |
参考料金 | 15,000円(税別)/人 (10名催行の場合) ※ガイド料金、資料費、保険料、Tyrellなどスポーツミニベロのレンタサイクル費が含まれます。 |